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けれど知る術もない。
せんらはしょうがなく逆走してみることにした。先に進むのは勇気がいったからだ。
先頭車両が破損したなんらかの理由があの先にあるはずだ。なら後ろに逃げた方がいい。重たい荷物をしょいながら景色を読み解く。
難解な文字と現代社会でも使用されている数字。コンクリートで舗装された壁。トンネルみたいだ。
「地下鉄ってやつよね。」母がかつて「日本」という国が存在していたときかせてくれた。その日本の地下鉄が私たちの土地の地下にたくさん張り巡らされていて、興味深いものが五万と眠っているのだと。
もちろん日本の文化なんて授業で教わらない。先生だってまともに綴りも書けやしないのだし、生徒なんてじっと椅子に座れていた試しがない。ただ大人たちは口を揃え「地下施設」は未知の恐ろしい場所だ、行ってはならないと脅していた。
「そっか。これってやっぱり」
博物館にも展示されていない、「古い」メトロだ。
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