青空の先に

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 絢也は妻の父親が経営する会社の営業として働いており、社長である妻の父に娘との縁談を持ちかけられ結婚をした。  ゆくゆくは会社を引き継ぐというかたちで絢也が婿入りをして、八木から伊吹姓を名乗るように。けれど夫婦互いの不貞により離婚、すったもんだと揉めはしたが離婚やむなしと義父も納得する。  だが世襲制である取締役の座から外れた絢也は、本来の姓である八木に戻った。けれど孫である拓海はそれを許されず、親権は父にあるが伊吹姓として学業に専念する。  どうして父の彼女が千瑛の母親であるか知っていたのか、それは拓海が絢也の後をつけたからだ。母親は海外勤務である彼氏と渡米しどうにもならず、けれど家族を壊した不倫相手が許せなかった拓海は父親の彼女に復讐してやろうと決意する。  それにはどうしたらいいか思案をめぐらせた結果、絢也との関係を壊してやればいいと思いつく。不倫相手にも息子がいるという、ならば目には目を息子を凌辱することに。  それとなしに父親から千瑛の情報を引き出し、あとは自力で調べ上げ千瑛と同じ高校を志望する。以後は千瑛と仲良くなり虎視眈眈チャンスをうかがっていた─── 「クソみてえな野郎だろ、俺って」  話を終え自暴自棄に自身を罵る拓海。千瑛が問う。
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