青空の先に

38/39
前へ
/40ページ
次へ
「拓海」 「ばか。死ぬつもりかよ」 「ごめん。ぼく……」 「いや、悪りぃのは俺だ。千瑛を傷つけ追い詰めて、踏切に飛び込ませちまった」  遮断桿が上がり、通行の邪魔にならないよう道の端に移動する。 「ううん、拓海は悪くない。ぼくと母さんの責任だから」  泣き狼狽(うろた)え絶望し、そして最後に覚悟を決めた千瑛。拓海にすべてを打ち明けた。 「──知ってたよ」 「えっ」 「言ったろ、調べたって。千瑛と親父の関係も」  拓海の言葉に絶句する。どうやらホテルに入っていくところを見られたらしい、すべてを知ったうえで千瑛に近づいたのだ。 「軽蔑するだろ」 「いや。いつもおまえ、死にそうな顔してたもん。おおかた親父に強要されてたんだろ?」 「……うん、事情があって。全部話すよ」 「今はいい。まずは俺の本当の気持ちを聞いてほしい」  そう言うと拓海は千瑛と目を合わせ、「ごめんな、嫌いとか言って。あれも嘘だから。つか記憶から取り消して」と頭を下げる。そして───
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加