そいつの名はBENという

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面接が終了した段階では、後藤はまだ一縷の希望を持っていた。 面接自体は滞りなく終了していたので、根っからのポジティブ思考である後藤がそう思うのも無理はない。 しかし、その一週間後、無情にも後藤はお祈りメールを受け取ることとなる。 客観的に見れば至極まともな判断だろう。 人物インパクト重視のテレビ局とはいえ、後藤のようなインパクトは求めていないのだ。 後藤の希望職種は営業であり、仮にその異臭が体臭だったとしても殆どの客には受け入れられないだろうし、もしBENを漏らしていることに彼女が気づいていたとしても、その状態で面接に来ること自体が異常とも思える行為であり、その段階で他の就活生と比べ数百メートル後方のバックティーからの面接スタートとなっていたはずだ。 後藤のこの話は今では仲間内では語り草になっている武勇伝であるが、本人にとっては黒歴史らしく、しばらくの間は合コンでも触れてはいけないタブーな話題とされていた。(当たり前か) 後藤の話はこれで終わりである。 多少の脚色はあるものの、これはノンフィクションだ。 最後に、この話を書くにあたり、十数年前にこの経験談を提供してくれた、今は某航空会社のパイロットとして活躍しているこの友人に心からの敬意と感謝の意を表したい。 願わくは、コックピットのすぐ近くにトイレがあらんことを。
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