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最終ラウンド、BENは勝負を決めに来た。インファイトに持ち込み、肛門にラッシュをかけてきたのだ。
鍛え抜かれた後藤の肛門もさすがに限界であった。
目を見開き歯を食いしばりながら、後藤は改札横にあるトイレに向かい不自然な内股で歩き始めた。
ここでトイレの個室が満室となっているのがお決まりのパターンなのだが、なんと個室は空いていた。
後藤は自分の強運に感謝しつつ、個室に入り、カギをかけた。2分で済ませば面接にも間に合うはずだ。
ふぅ、と息を吐き、後藤はベルトを外した。
時に運命は残酷である。
これまで必死にBENのラッシュを食い止めていた肛門はもう限界を超えていたのだ。
安心してしまった後藤の肛門には、もうBENのラッシュに耐えられる力は残っていなかった。
肛門は決壊した。
後藤がスーツのパンツを下ろす0.5秒前に。
決壊した肛門からはガッツポーズをしたBENが溢れ出てきた。
しかしその快感たるや、後藤がこれまでに経験した数々の快感を圧倒的に凌駕する程の至福の時であった。
まもなくして、尻から足にかけて感じる生暖かい感触と、急速に充満するBENの臭いで後藤は我に返った。
そして理解した。とても2分で解決できる問題ではなくなったと。
どう希望的に捉えても絶望的状況であるが、そのときの後藤には絶望に嘆いている時間もない。
なんとか処理をして面接に行かなければ。
まずBENの核とも言える部分が我が物顔で居座っているボクサーパンツをトイレのゴミ箱に捨てた。
濃紺のスーツのパンツは濡らしたトイレットペーパーで拭いてみたものの、やはりBENは圧倒的な存在感を持ってスーツのパンツの背面にて主張を続けている。もはや全てのBENを拭き取ることは不可能だ。
そもそもあと少し拭き取ったところでこの凄まじいBEN臭を消すことはできないだろう。
ノーパン且つ強烈なBEN臭、こんな状況で面接に行くなんてもはや狂気の沙汰だ。
と、今なら思うが、そのとき後藤はこう考えた。
行くは一時の恥、行かぬは一生の恥
後藤は面接会場へ向かった。
酒とタバコと汗とBENの臭いを撒き散らしながら後藤は朝の通勤ラッシュの喧騒の中を駆け抜けていく。
面接会場は駅前のビルの中だった。
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