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 そのすべてに同じ少女が……娘のひとみが、明らかに隠し撮りとわかる構図で写っている。中には私や妻が写りこんでいるものもあった。  なんだ、なんだこれは。 「いや……なんなの、これ……」  妻がワナワナと肩を震わせている。  大丈夫か、と私がその肩に手を置こうとすると、妻はそれを乱暴に払いのけた。こんなに取り乱した姿を見るのははじめてのことだった。  妻は私を押しのけると、そのまま寝室へ入りドアをバタンと閉めてしまった。  私は煌々と明かりのついたリビングで、立ちすくんだ。  テーブルから赤い文字が踊るメッセージカードが滑り落ちた瞬間、壁掛け時計が0時を知らせる明るいメロディーを流し始めた。
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