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◆ 「でも、これ本当にその彼女からなのかしら?」 「けど、他に心当たりはないし……」 「ふぅん……とりあえず開けてみましょうか」  妻がワインレッドのリボンをほどく。いささか雑にハート柄の包装紙を破くと、そっけない白い箱が顔を出した。  どういうわけか私は、中身はブラウニーなような気がしていた。彼女が話していたからだろう。平たい箱はそういうものを入れるのに適しているように思った。  妻が箱のふたを持ち上げた。 「え?」  入っていたのは、チョコレートではなかった。ブラウニーでもない。  中には白い紙――写真を裏返したものに見える――が束になって入っていた。 「なんだ? これ」  私が呟くと、妻は一番上の一枚を手に取り、ひっくり返した。  それはやはり写真だった。  公園でブランコに乗る女の子の姿が写っている。こちらに視線は向いていない。長い髪を耳の上で二つに結わえて、笑っている。 「なんで……」  妻は写真の束をひっくり返した。二十枚以上あるだろう。
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