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ぼくはたしかにそのとき、口をつぐんでいた。けれども、所詮は夢の中のできごとだから、ぼくは心の中で思っていたことをそのとき言ってしまっていたのかもしれない。いや、もしかしたら夢の中の目の前の女の子は、ぼくの心の中の言葉を盗み聴いたのかもしれない。とにかく、彼女から予想外の言葉が飛び出してきたのを覚えている。
バナナチョコ、は、なんだったけ。ああ、“A Perfect Day for Bananafish”のバナナね。Platanoのことね。チョコはChocolateのことよね。マッチャチョコのマッチャってなあに。
バナナフィッシュって、あれだよな。抹茶をどう説明しようか。夢の中の彼女の質問にどう答えようか考えあぐねている間に、ぼくは、ぼくの意識が、ぼくの身体に戻る感覚を得た。もう、そんな時間か。ぼくの意識が、一瞬とだえたのを感じたけれど、次の瞬間には、ぼくが布団の中にくるまっているのに気づいた。
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