来ない勇者様

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*** 先ほどの伝書鳩は、相当優秀な鳩だったらしい。 リアムが封書を鳩に託しておよそ5時間。 城からの迎えの馬車がやってきた。 その頃私達は、木こりと呑気にババ抜きをやっていた。 今度こそ私が勝てそうかな、というその時。 小屋の前が急に騒がしくなり、何事かと木こりがトランプを置き、ドアを開けた瞬間。 「ご無事でしたか!ハンナ姫!」 兵士たちが、木こりをよそに、ドカドカと足を踏み入れてきた。 「何ですか!その恰好は!」 着替えるものもなく、未だ魔物から奪った服(自分で裾を破ったのでノースリーブ)を着ていた私は、苦笑いしながら頭を掻いた。 「いやぁ、色々ありまして」 「国をあげてずっとお探ししておりました。事情は後で聞きます。ささ、帰りましょう」 と、2人ががりで私の腕をつかむ。 彼らの目に、木こりの姿は映っていない。 おそらく、身分が低そうだから。 おそらく、一目見たその瞬間に、取るに足らない存在だと、ジャッジを下したから。 私は、スッと兵士の手を振りほどくと、木こりに向き直り、言った。
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