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先ほどの伝書鳩は、相当優秀な鳩だったらしい。
リアムが封書を鳩に託しておよそ5時間。
城からの迎えの馬車がやってきた。
その頃私達は、木こりと呑気にババ抜きをやっていた。
今度こそ私が勝てそうかな、というその時。
小屋の前が急に騒がしくなり、何事かと木こりがトランプを置き、ドアを開けた瞬間。
「ご無事でしたか!ハンナ姫!」
兵士たちが、木こりをよそに、ドカドカと足を踏み入れてきた。
「何ですか!その恰好は!」
着替えるものもなく、未だ魔物から奪った服(自分で裾を破ったのでノースリーブ)を着ていた私は、苦笑いしながら頭を掻いた。
「いやぁ、色々ありまして」
「国をあげてずっとお探ししておりました。事情は後で聞きます。ささ、帰りましょう」
と、2人ががりで私の腕をつかむ。
彼らの目に、木こりの姿は映っていない。
おそらく、身分が低そうだから。
おそらく、一目見たその瞬間に、取るに足らない存在だと、ジャッジを下したから。
私は、スッと兵士の手を振りほどくと、木こりに向き直り、言った。
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