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「ここいらから一番近い集落は、北にしばらく行ったところにあるドーソン村です。でも正直言って、何もないですね。宿もあるかどうか……」
「でも、そこ以外には待てそうな場所、ないですよね?」
「えぇ。だいぶ戻らないことには……」
私は懐中時計を確認する。
午後7時を回ったところ。
これ以上御者を働かせるのも、何だか悪い。
「じゃあ、その村に行ってもらえますか?」
こういう行き当たりばったりの旅が苦ではないところが、私の(唯一かもしれない)いいところなのかもしれない。
こうして私達は、豪雨の中、ドーソン村に一時滞在することとなった。
「宿屋もないって、そんなに田舎な村なのかな」
「でしょうね。でも私、どこかでこの村の名を聞いたことがあるような……」
リアムが首をかしげる。
そうこうしているうちにたどり着いたドーソン村。
うん、予告されてたとおり、なんにもない!
店っぽいものもない。
1件だけ見つけた酒場は明かりがついておらず(この雨のせい?)
道の両脇には畑と牧場、そして小さな民家がちらほら。
「やっぱり、なさそうだねぇ、宿」
窓から外を見ながら、私はため息をつく。
と、その時。
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