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ソフィアは、私の大きな声にびっくりしたのか、
肩をすくめ、すぐにお母様の後ろに引っ込んだ。
「もう、ソフィちゃんったら。どうしたのよぉ~。お姉ちゃんに、お帰りのチューは?」
お母様が振り返りソフィアに話しかけるも、彼女は隠れたままだ。
「しかし、悪かったな、ハンナ。お前を助け出せなくて。兵士総動員で行方を捜してはいたんじゃが、見つけれらんかった。勇者は……」
「いいよ、もう、その件は」
私は困り顔のお父様に微笑んだ。
分かってる。分かってるよ。
うちの国の勇者は、そういうやつらだ。
ってやばい。お父様、なんか顔が曇ってきた!
場を和ませる話題、話題……。
「そ、それよりやっぱり、改めて分かったよ。お城の生活って素晴らしいよね!
シャワー最高!ベッド最高!前ね、キャンプが好きな人の」
と、その時。
「これは……警告だ」
急に割り込んできたソフィアの冷たい声は、なぜか私のやかましい喋りより響いた。
見ると、ソフィアがお母様の前に立ち、宙を見ながらパクパクと口を動かしている。
「ソフィちゃん?」
お母様がしゃがみ込み、彼女の肩を揺らすも反応はない。
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