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西の勇者と東の勇者
私の王国に勇者は二人いる。
西の勇者と東の勇者。
端的にいえば、
西の勇者はチャラ男でパリピ。(パーティピープル)
東の勇者は引きこもり。
城から幾度となく魔王征伐の嘆願を行ったが、
彼らの腰の、動かざること山のごとし。
全くもって、響かない。
「で、どちらから行きます?姫」
馬車の窓に流れる風景を見ながら
リアムが尋ねる。
「西」
「なぜです?彼、面食いらしいじゃないですか」
「まぁ、チャラ男でパリピだしね」
「姫に勝算はあるんですか?」
「ないよ。でも、東より、話は聞いてくれそうじゃない?」
「どうでしょうね」
「あと、西の勇者が住む町の方が、近いしね」
「まぁ……そうですね」
行先が決まった丁度そのころ、
私達の馬車は東と西の分岐点へと差し掛かった。
私は御者に行先を伝え、西へ馬を走らせてもらう。
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