クロードという男

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その日からしばらく 私はお母様の部屋を出入り禁止になった。 理由は「お母様の体調がすぐれないから」 だけど、お母様の部屋から漏れ聞こえる 楽しそうな声は 私の耳にも届いていた。 「二重さんなのね、ソフィアちゃん。 肌も透き通るように、真っ白。 きっと、美人さんになるわ。 ああ、なんて可愛い!!」 廊下にいた私は、立ち止まり、 抱えていた熊のぬいぐるみ(名前はソフィア)を ぎゅっと抱きしめた。 メイドさんに手を引かれ、その場を離れる。 幸せそうな笑い声は、 私の後ろで、ずっとずっとこだましていた。
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