クロードという男

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「ええーっ!諦めんの?!」 「いや、諦めた訳じゃないよ!休戦、一時休戦するだけ! だって今、これ以上勇者を説得できる気がしないんだもん……」 不服そうなミーアさんに、私は事情を説明した。 というか、3日ほど一緒にいただけなのに、私は知らず知らずのうちにミーアさんにタメ口をきいてしまっていた。 ハッと気付き口を塞いでみる。が。 「もうちょい頑張ってみない?私今日化粧のりいいの。見てて!今日ならあいつもイチコロだから!」 と、私の話し方など全く気にしてなさそう。 じゃあ、まぁ、いいか。 「お前の化粧のりなどもう関係ない。姫と話し合った結果、ひとまずもう一人の勇者を先に訪ねることにしたのだ。これは、決まったことだ」 「何よ!私を巻き込むだけ巻き込んでおいて!私抜きで決めちゃうなんてさ!」 「勘違いしないで、ミーアさん! 私達、あなたに本当に感謝してる。でもぶっちゃけ、これ以上勇者と話しても、快諾してくれそうにないでしょ? この不毛な押し問答に、忙しいミーアさんを巻き込みたくないんだよ。 だから、先に東の勇者の所に行って、また戻ってくる。もしよかったら、それまでにミーアさんも、いい案、考えておいてくれない?」 私は首をかしげる。 ミーアさんは、眉をしかめながらも唇をキュッと閉じた。
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