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ソフィアの神託
久々のシャワー。
久々のきれいなドレス。
あぁ、やっぱり、最高!!
魔物の手から逃れて1日。
私は城に着くやいなや、お父様たちへの挨拶も忘れ、シャワーもせずに寝落ちした。
いやー、やっぱ自分でも疲れてたんだわ。マジで。
でも改めて思うよね。お城の生活って、本当に快適。
昔、キャンプが好きな人の話を聞いたことがあるんだけど
その人、すごく寒い日や、豪雨の日にキャンプするのが特に好きなんだって。
なぜかというと、『日常のありがたみを噛みしめられるから』
その話を聞いた時はぶっちゃけ、この人変態?なんて思っちゃったけど
今になって、ちょっとわかるわ、その気持ち。
私はその思いを一刻も早く誰かとシェアしたくて、
早速お父様とお母様に会いに行った。
「ハンナ!!あぁよかった!無事で!!」
謁見の間で待っててくれていたお父様は、
私の顔を見るや、すぐに玉座から飛び降り私を抱きしめてくれた。
ふさふさの口髭が私の頬をこする。
「ハンナ~!!大丈夫だった?夜はちゃんと寝られた?ご飯食べられたぁ?」
お母様は相変わらずの天然ぶりというか、
まるで娘が1泊旅行から帰ってきた時に尋ねるような質問を投げかけてきた。
いや、一応私、さらわれてたんですけど。
そして。
「……おねぇさま、お、おかえり」
お母様のふわふわドレスの後ろから、顔を半分だけ出したのは。
「ソフィア!!ただいま!お姉ちゃん、戻ってきたよ!」
美しいブロンド、白い肌、透き通った空色の瞳。
可愛いかわいい、わが妹、ソフィア、5歳。
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