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勇者のいる街、サンナイトに着いたのは
丁度日が沈みかかったころだった。
サンナイトという名前の通り
ランプが町のあちこちに灯され
今が夕暮れであることを感じさせないくらい、明るい。
通りには露店が並び、とても賑やか。
「さすがはサンナイト。話に聞いてた通り、
この時間帯もにぎやかだねぇ」
「夜に来るのは初めてなのですか?」
「うん。いちおー私、お姫様だし、
夜は町出歩くの、禁止されてたからね」
「ま、治安は良くありませんからね」
「そういえば、リアムと私が出会ったのって、確かこの街じゃ……」
「忘れました、そんなこと。それより」
人込みの通りに一歩踏み出そうとする私の手首をリアムが後ろから、つかむ。
彼の冷たい手に私は思わずビクリと肩をすくめた。
「はぐれたら、一大事でしょう」
しれっとつぶやくリアム。
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