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圭志はわずかに俯いたまま小さく頷いた。
その頬には薄らと朱が差していた。
「可愛いお嫁さんだ……」
「う……うるさい!」
ベッド脇のサイドチェストに手を伸ばし、そこに置かれた眼鏡を取ろうとした圭志の手を掴んだ仁は、またニッコリと笑いながらチュッとキスをした。
「お前なぁ……」
「俺の前で武装するのやめてください。あと――もう、薬を飲むことも」
「え? それは……」
「今は昔と違う。Ωは希少種として世界的に保護される傾向にある。貴方がΩだと明かしたところで、社内での地位が揺らぐことはない。ましては俺の婚約者だ。誰も手を出す奴はいないでしょう」
「お前、どれだけ買い被ってる? お前ごときの若造があの会社の上層部をどうこう出来ると思っているのか?俺から言わせれば、まだケツの青い……」
言いかけた唇にそっと人差し指を押し当てた仁は、再び圭志をシーツに沈めた。
「おいっ!」
「――貴方を傷付ける奴は、例え社長であっても許さない。大丈夫……」
「お前のその自信は一体どこからくるんだっ!」
シーツを掴み寄せ、脚の間を割ってくる仁から逃れようとする圭志だったが、揺るぎのない彼の想いは痛いほど伝わっていた。
うつ伏せになった彼と体を重ねた仁は、すでに兆している長大なモノを圭志の尻の間に押し付けるとグリグリと抉るように腰を動かした。
「おい……やめろって」
仁の大きな手が圭志の平らな下腹を撫でる。何回も仁の精を受け入れたその場所に掌を強く押し当てて、低く、そして底なしに甘い声で耳元で囁いた。
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