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2. 七夕の日
次の日、学校では二つの話題で盛り上がっていた。
一つ目は、例の殺人事件のことだ。
どうやら被害者一家を殺した犯人が、まだ捕まっていないらしい。
しかもその男は、国内外で殺人を繰り返している、凶悪犯で、国際指名手配犯なのだそうだ。
二つ目は夢が叶う短冊について。
19世紀末、世界最強といわれた資産家の遺品の中から、古くから「夢が叶う」と伝えられていた短冊が10枚見つかったそうで、1世紀に1枚、世界中で抽選をして、それを使える1人を決めるのだそうだ。
資格は5才以上である事。それを満たしている人はみな、自分の意思とは関係なく、抽選を行うらしい。
そして今年の夏、その大抽選会を行うのだそうだ。
虹輝は、物好きなもんだな。と思っていた。
仮に本当に夢が叶うものなら、世界中で大抽選会を行わずに、遺品の持ち主が使ってしまうか、オークションにかけて高値で売ってしまえば良いのに。
きっとそれをしないのは、夢など叶わないからなのだろう。
しばらくしてチャイムがなり、担任の先生が入ってきて、まだ話し足りなそうな児童達を静まらせた。「えー。みなさんニュースで見たとは思いますが、都内で殺人事件があり、犯人は未だに逃走中だそうです。
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