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第五章
「私が飲んでる、紅茶に入ってる氷。それが溶けたら君の負け。そうしたら、別れよう」
別れる、と簡単に口にした莉子に面食らう。その程度の付き合い方をしていたと言ってしまえば、潔い。しかし、悲しいものだ。
「だから、そういう覚悟で秘密を当ててほしいの!」
俺の心を見透かして、否定する。しかし莉子の性格上、後から考えついたと言っても不思議ではない。
あの出来事以来、莉子は何もかも変わってしまった。昔はもっと大人だった筈だ。
今の莉子は、まるで別人だ。
「ほらほら、考えて。早くしないと、氷溶けちゃうよー」
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