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私は封筒に指をかけ、ゆっくりとそれをはがして開けた。
手紙に書かれていたのは、謝罪の内容だった。
事の発端は、私が隣のクラスのある男の子を好きだってことを、誰かが本人に伝えたこと。
その犯人が当時一番の親友だったさとみだと誰かが言いだし、私はそんなあやふやな話を信じてさとみを問い詰めた。
さとみは知らないと否定したのに、私は恥ずかしさとさとみに裏切られたショックから頭に血が上り、言いたい放題言って、彼女を酷く傷付けた。
やがて、私達は卒業した。
その後、あの犯人は違う子だったということがわかった。
すべては私の勝手な誤解だったとわかったのだ。
悪かったという気持ちはありつつも、どうしても素直に謝れなくて、私は手紙という回りくどい方法を取ることにした。
そして書いたのがこの手紙だ。
だけど、勇気がなくて出せなかった。
出せないままに、私は故郷を離れ、大学へ進み、そのうちにこの手紙のこともすっかり忘れてしまっていた。
知り合ったのは高校に入ってからだけど、さとみは誰よりも仲良く、誰よりも信頼していた友達だった。
だからこそ、裏切られたと思った時、私は逆上してしまったのだろうけど、もっと冷静に考えれば、彼女がそんなことをするはずないってわかるはずなのに…
どうしてもっと彼女のことを信じられなかったんだろう…?
今更ながらにして、激しい後悔の念が、私の胸の中を埋め尽くした。
ずっとずっと、そのことが頭の中から離れなくなった。
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