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(私にはやっぱりこうするしかない……)
私は、大きく深呼吸をして、手紙をポストに放り込んだ。
あれからずいぶん悩んだ。
今更、あんなつまらない…しかも、大昔のことをほじくり返してどうなるっていうんだろう?
さとみにとっても迷惑なだけだ。
そう思い、あの手紙を破り捨てようとしたこともあった。
でも、やっぱり出来なかった。
私は間違っているのかもしれない。
だけど、謝らなければ…
さとみを傷付けたことをちゃんと謝らなければ…
日に日にそんな想いは強くなり、私は、あの頃の手紙に加え、今現在の気持ちを綴った手紙を書いて投函することにした。
もう何十年も経ってるんだから、手紙が無事に届くかどうかさえわからないけど…
(父さん…これで良いんだよね?)
同意を求めるように、私は赤く染まった空を見上げた。
空には小さな一番星が輝いていた。
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