第十二話 生か正義か

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 深夜、平子鋭二は中央区の繁華街から少し離れた陸橋の上を歩いていた。この陸橋が中央区と東区を繋いでいる。 「……」  鋭二は、やつれたように頬がこけ目のクマは深く、しかし目のぎらつきは以前にも増していた。部下二人が死に、鋭二の死鬼への憎悪に拍車をかけた。  左手にぶら下げているアタッシュケースの中には、部下たちと同様に噴射機構付きの縦長の機械二つが装着されたベルト『鬼穿』と、折り畳み式の剣が一本。剣はカッターを長くしたような刀身で、刀身の下半分は折り畳み傘のように三段階に押し込まれ、上半分は(みね)側に蝶番(ちょうつがい)のように折られている。足には左右に小口径の噴射機構の付いたシルバーのブーツを履いている。とは言っても小型で、そこまで目立たない形状をしていた。 「どこにいやがる……バケモノ」  鋭二は苛立ちを隠さない乱暴な口調で呟くと、空いている拳を握りしめ顔をクシャっと歪めた。  鋭二が足を止め、星空を見上げていると、 「――ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!」  酷く耳障りな男の悲鳴が響いた。 「ちぃ!」  鋭二は、アタッシュケースから鬼穿のベルトを取り出すとケースは投げ捨て、左手にベルトを持って橋から豪快に飛び降りた。  そう、悲鳴は陸橋の真下から響いたのだ。
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