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――――――――――
葬儀には多くの人が参列した。
皆が光汰の死を悼んだ。
皆が泣いた。
彼の遺体に縋りついてすすり泣く藍の姿は痛ましいものだった。
影仁には、やるべきことがあった。
「――まさか、あの少年が死鬼との交戦で命を落としたとはな……」
葬儀場の外では携帯を耳に当て、通話する清悟の姿があった。
「ああ、彼ら半鬼狼の正体よりも、死鬼の正体を探る方が先決なのかもしれない――」
重苦しい面持ちで会話する清悟。最後に事務連絡だけ済ませると通話を切った。
そして、後ろを振り向く。
「私になにか用かな?」
清悟は努めて柔らかい雰囲気で問いかけた。そこにいた青年へ。
「飛鳥第七班のリーダー『成田清悟』だな?」
清悟の雰囲気が変わる。警戒心を露にし、戦闘の構えをとった。
「君は何者だ?」
「――俺は、半鬼狼だ」
今ここに、黒野影仁と成田清悟が邂逅を果たす。
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