第零話 中東生物災害

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 中東での紛争末期、影仁たちの所属する反乱軍は勝利を目前としていた。彼らは、重要な拠点を次々に制圧していくと、首都の中心にある正規軍の本拠地へと進軍していった。  そして、異変は起こる。 「――っ! な、なんだっ?」  敵の本拠地で派手な爆発音があったのだ。それを聞いた味方兵が浮足立つ。それでも影仁だけは慌てることなく、どのように目標を達成するかを考えていた。  しかし―― 「ぎゃぁぁぁぁぁあっ!!」 「な、なんだこいつらはっ! 敵の兵器かっ」  先頭で前進していた小隊から断末魔の悲鳴が響く。影仁は足を止めた。敵の陣営から全速力で走ってくる人影を見たからだ。それはまるでイノシシのようにまっすぐ突っ込んできて、素手で襲いかかり人肉を噛みちぎっていた。白目をむき不自然に筋肉が隆起したそれは、バケモノ以外に形容できなかった。 (一体なにが起こっている。あのバケモノはなんだ)  よくよく見てみると、そのバケモノたちは敵の軍服を着ていた。  嫌な予感がした影仁は敵の本陣へ向かって駆け出した。
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