第五話 戦士たちの日常

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 伊刈光汰は、どこにでもいる普通の高校生だった。 成績は中の中、中学まではバスケ部に所属していたため運動神経も悪くない。  陽気な性格で友達も大勢いた。  特徴といえば、正義感が人一倍強いことか。  特に何不自由ない人生。  しかし転機は訪れる。  あれは二か月前、しんしんと雪降る放課後のことだった。  光汰が商店街の横断歩道を渡ろうとしたとき、一台の車が高速で迫っていた。  しかし、横断歩道は既に歩行者が一人渡っている。光汰のクラスメイト『梅山藍(うめやまあい)』が。  運転手はよそ見をしていたのか、慌ててブレーキを踏むが―― 「――危ないっ!」  光汰が飛び出す。 「え?」  藍は目を見開き、目前に迫る車をただ見つめるだけだった。  そして、 「――っ!」  藍を突き飛ばし車に跳ねられた光汰は、強烈な衝撃に意識を手放すのだった。
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