319人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ
――――――――――
失踪事件解決から二週間がたった。
平日の昼休み、悠哉は姫川に連れられムサシ中北支部近郊にある喫茶店へ来ていた。
二人とも既に昼食は済ませ、ホットコーヒーの温かさに心を落ち着かせる。
「少しは元気になったみたいですね」
「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
咲の一件から一週間ほど、悠哉は仕事に身が入らずコミュニケーションもぎこちなかった。
本来であれば、獣鬼を庇うという罪を咎められて当然だったが、清悟が上層部へ情報が渡らないよう、戦闘員たちにも他言無用と言い渡した。
実働面でも大した問題になっていないのは、悠哉が立ち直るまで姫川がフォローしたおかげだ。
「構いません。そのためのチームですから。でもその分、たくさん働いてもらいますよ」
姫川は普段とは違い、柔らかい表情で笑みを作った。
悠哉は、先輩の思いがけない優しさに瞳を潤ませる。
「ありがとうございます。リーダーにもご迷惑をかけてしまいました」
「ここのお代もリーダーが出してくださいました。後でお礼を言っておいてく
ださい」
悠哉は目を見開いた。仲間のありがたさが心に染み入る。
最初のコメントを投稿しよう!