第七話 崩れゆく日常

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 咄嗟のことに動けず、なにより信じられず、硬直する光汰。 (な、んで?)  ――スパァン!  極細の一閃。  獣鬼の首は宙を舞った。吹き出す鮮血と共に。 「油断しないで」  冷たい瞳で呟き、レイピアに付いた血を払う薫。  しかし、光汰の頭は数刻前の記憶に支配されていた。    不自然な挙動の若い男、ズレた眼鏡、ぶつかった和馬。  それらから導き出される最悪の解。  和馬は獣鬼と接触し、その匂いが獣鬼の体に残った。夜、覚醒した獣鬼は、スーツに付いた匂いを頼りに和馬を探し、捕食した。  つまり―― 「あのとき、俺が獣鬼だと気付いていれば……」  光汰は呟き、頭を両手で押さえ―― 「――う、うぁ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」  それからすぐに、光汰は不登校になった。
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