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第四話 人と鬼、天秤にかけるとき
飛鳥の行方不明者調査が始まってから一週間。半鬼狼も動き出そうとしていた。
半鬼狼の第一拠点である地下の会議室。
桐崎による緊急の招集がかかり、影仁、雅人、光汰が集まっていた。
「一体なにがあった」
影仁が抑揚のない声で桐崎に問う。
「すぐに話すよ。その前に、大山先生から光汰へ贈り物があるんだ」
そう言って桐崎は、壁に立てかけてあった棒状の武器をとり、先端に巻いてあった布を外す。
「こ、これはっ、この間お願いしていた……」
薙刀だった。
桐崎は、それを光汰へ手渡すと、感心したように目を細める。
「偃月刀というそうだ。考えたね光汰。それなら、獣鬼の間合いに入ることなく、攻撃が届く。今の君の腕力なら軽々と扱えるだろうし、ぴったりじゃないか」
「影仁さんのアドバイスのおかげですっ」
光汰は目を輝かせ、興奮したように鼻息荒く答える。
「へぇ、らしくないじゃねぇか」
雅人は薄ら笑いを浮かべ影仁を見た。
しかし本人は、反応することなく目を閉じて腕を組み、壁に寄りかかっているだけだ。
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