第五話 戦士たちの日常

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第五話 戦士たちの日常

 二つの黒い影が夜風を切る。  首尾よく獣鬼を始末した彼らは、『飛鳥』から逃げ、拠点へ戻るところだった。 (やった……俺がやったんだ。ついに獣鬼を倒したんだ)  光汰は初めて獣鬼を倒した。  影仁のフォローはあったものの、偃月刀でトドメをさした。  ――しかし、光汰の胸に去来したのは一抹の虚無感だった。 (なんなんだ……この感覚……)  自分が倒したのは絶対悪のはず。  なのに、何故虚しさを覚えるのか、光汰には理解できなかった。  ただ、今でも、その感触が残っている。  人の……獣鬼の胸を突きさす感触が。 (でも、あれを殺さなければ被害者が増えていたはず……)  そう思って胸のざわめきを鎮めようとする。  それでも光汰は、自分のしたことが本当に正しいのだと、言い切れる自信がどうしても持てなかった。
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