第五話 戦士たちの日常

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 次に光汰が目を覚ましたのは、白いベッドの上だった。  家族や友達は泣いて喜んだ。  しかし、光汰へ告げられた現実は残酷だった。  脊髄損傷による全身麻痺。  光汰は自分の耳を疑った。  まだ16歳の少年が一生寝たきりの生活を強いられるのは酷だ。 (ちくしょう! なんで俺がこんな目に……)  ただただ呪う。現実の理不尽さを。  それから光汰はその晩、枕を涙で濡らした。  しかし、全てが悪い方向に進むわけではない。  翌日、『梅山藍』が見舞いに来た。 「私のせいで……ごめんなさい、伊刈くん。でも、助けてくれてありがとう」  彼女は辛そうに微笑みながら頭を下げる。  クラスメートではあるが、目立たず大人しい彼女とはほとんど接点はなかった。  それでも彼女は、毎日のように見舞いに来た。  藍の真心こもった献身に、光汰の心も少しずつ癒されていく。 (あぁそうか。俺は人を助けたんだ。それなら後悔しちゃだめだな)  ――それから数週間たったある日の夜、その男は現れた。  半人半鬼の仮面を被った『黒野影仁』が。  彼は、悲惨な状況にあってなお瞳の輝きを失わない光汰に問うた。 「お前に意志はあるか? どんな逆境だろうと闘い抜く強い意志が」  光汰はゆっくりと頷く。  そして、影仁は半鬼化薬を光汰の脊髄へと注入し、新たな半鬼狼が誕生した。  すぐに退院し、医者や知人たちが心底驚いていたが、脊髄損傷は医師の勘違いだったというように情報操作された。『大山功』の手によって。
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