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第九話 再燃
週明け、光汰は登校した。
長く感じられた一週間だったが、学校は何一つ変わっていなかった。例え、生徒が一人死んだとしても世界は回っていく。
光汰は自分のクラスに入ると、適当な声で「おはよう」と呟き席についた。それを見た友人たち三人が驚きに目を見開き、すぐに光汰の元へ駆け寄る。
「おいおい心配したぞ光汰」
「お前まで『通り魔』の被害に遭ったのかと思ったじゃんか」
「そうだよ。でも、大丈夫そうで良かったな」
彼らはほっとしたように笑みを作ると、光汰に先週のことを聞かせた。その内容のほとんどが他愛のないものだ。ずっと引きこもっていた光汰は知る由もなかったが、和馬の死については、通り魔による殺害事件だと報道されていた。
獣鬼の存在を認知されないように国家防災局がマスコミを操っている。大抵の場合、獣鬼の被害者は失踪、又は通り魔の被害にあったとして処理しているのだ。ただ、どこで情報がリークするかは誰にも分からず、ときたま『鬼』の噂が独り歩きする。
光汰が愛想笑いを浮かべながら気のない相槌を打っていると、スマホのメッセージアプリに新着があることに気付いた。
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