cantabile

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驚いて見上げた窓の先に咲く、満開の花。 ドォーン… 続けて聞こえた、心臓まで響く音。 打ち上げる場所から近いのかもしれない。 私は息を飲んで、窓に顔を寄せた。 赤や、青や、緑、紫。 私の好きなしだれ花火も大迫力で、久々に心が踊った気がした。 オリンピックイヤーの今年、五輪のマークの花火も打ち上げられて、つい「あ、オリンピックのやつだ…」と声が漏れた。 いつもは下を向いてばかりの瞳も、この日だけはこの花によって輝いてくれている。 しばらくして、数分程度の休憩時間が訪れた。 急に静かになった廊下は、前に戻っただけなのに、前よりも寂しく感じる。 自動販売機から綾鷹を取り出し、そっと頬に当てた。妙なほど静かな病院で次の花火を待っていると、 …微かに、音が…聞こえた。
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