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萩「それで……さっきのはどういう意味だ……?」
春香「そのままですよ。私は別世界から来た、貴方の妹です」
萩「……俺に妹なんていない」
春香「私は、『別世界から来た』と言いました。その別世界では、貴方に妹がいるんですよ」
萩「……そもそも、別世界から来たって…どうやって?もしその話が本当だとしても、何の為にこの世界に来たんだよ……」
春香「私は、この桜の木に願いました。『萩兄に会いたい』と。
毎日毎日願い続けたら……本当に私の願いは叶いました。『叶和桜』...私の世界では、この木はそう呼ばれています」
信じ難い話だった。非科学的な話で、信じないのが普通だ。
……が、俺はとても春香が嘘をついているようには思えなかった。
……春香の目は、本気だった。
萩「...話を戻すが……じゃあ、なんでこの世界に来たんだ?そちらの世界にいても俺に会えるんじゃ……俺…に……まさか……」
春香「……その、まさかですよ………私の世界の萩兄はもう……」
ポロッ
見ると、春香は涙を流していた。
拭っても拭っても、止まらないようだった。
そして春香は……口を開いた。
春香「萩兄はもう……死ん、じゃって…!」
ポロポロポロッ
ついに春香は、大号泣した。
春香「うっ……あぁ...!」
俺は……春香を抱き寄せた。
それから数分後、春香は落ち着いたらしく……
話に戻った。
萩「そういえばお前……家あるのか?」
春香「無いです」
萩「じゃあどうするつもりだったんだ……?」
春香「え……?そりゃあ、萩兄の家に……」
萩「待て待て待て」
春香「どうしたんですか?」
春香はまるで「当たり前でしょう?」という顔で俺を見てきた。
俺は、はぁ……とため息をついてから言った。
萩「...あのなぁ?お前は何とも思わないかもしれないが、いくら兄弟とはいえ俺にとっては今日知り合ったばかりの見知らぬ少女。誰だって今日知り合った奴を家に居候させようだなんて……」
ジィーーーーー
うっ。めっちゃ見つめてくる……
萩「……はぁ…………分かったよ…だからその顔やめてくれ……」
春香「え?あ、ごめんなさい!」
萩「……あと言っとくけど………『葉桜楼翔』って知ってるか?」
春香「勿論知ってますよ。萩兄の幼なじみでしょう?」
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