episode248 女王の帰還

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だけど予想に反して 「分かっていたよ。君が裏で色々していたことぐらい」 「え……?」 「でも初めて君が考え、迷いながら善悪の狭間で揺らぐ様を、僕は黙って見てることにしたんだ」 その瞳はこれ以上ない優しさを讃え 僕の世界を再び真っ白に塗り潰した。 「ウソ……」 「初めて歩き出した赤ちゃんが、どこへ向かって行くのかなんて分からないものな」 完全な一人相撲。 そして僕は負けた。 「でもまさか、薫くんとあんなことになるとはね――」 「そうだ……薫!」 言われてはっと我に返る。 「九条さんお願い、今すぐ車を出して!」 ああ、そうさ。 僕はまだ一人じゃ歩くことすらできないから。 「ウソだろ、まだ何かあるの?」 「残念だけど急いで」 僕は九条さんの手にすがった。 そう、いつも通りにね――。
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