episode248 女王の帰還

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「あ、痛ててて……」 「大丈夫?何してるの?」 階段の手摺から勢いよく落下した僕を見るや 九条さんは慌てて螺旋階段を駆け下りてきた。 「怪我はないね?ていうかこんな時間にどこ行くの?」 僕を抱き起し 矢継ぎ早に尋ねる九条さんはまだ着替えてもいない。 「僕はただ……眠れないからやっぱり庭を散歩することにしたの。あなたこそこんな時間までそんな恰好でどうしたの?」 疑われないよう僕は軽い調子で答える。 だけど微笑みの王子が――今夜はどうしたことか。 その顔にはひとかけらの笑顔もない。 「こういう事が起こるかもしれないと思って待っていたんだよ」 「待っていた?」 「ああ。こんなことなら手摺の下で待つべきだったかな?」 「ご冗談。それならもう手遅れだから寝てください」 僕は一刻も早く外に出ようと 何気ない風を装って彼に背を向ける。 だけど――。
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