73人が本棚に入れています
本棚に追加
「今回おまえは被害者だったと言ったよな?あの男にそそのかされて、騙されて、いいようにされた。だよな?」
「それは……」
征司はパソコンを操作する手を止めると
驚いたような表情で目を上げた。
「違うじゃん」
ブルーライトで照らされたその顔に
わざとらしい笑みを張りつかせて。
もちろん一緒になって笑うわけにはいかない。
メールを見られたのだ。
僕らの今までのやり取りを――。
「それにしても貴恵の新鋭は優秀だな。あのおぞましい動画がどんどんネット上から消えてくよ」
再びパソコンの画面に目を落とすと
征司は能面のような表情で白々しく話題を変えた。
どんな顔して
なんて言えばいい?
暗闇に立ち尽くす僕に再び視線が戻ってくる。
最初のコメントを投稿しよう!