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「あのね、和樹――僕ら怒ってるわけじゃないんだよ。なぜこんなことになってしまったか、理由が知りたいだけだ」
見るに堪えない画面を伏せて
悲しげに顔をしかめる僕のヴィーナス。
それは僕も聞きたいところだ。
なぜこんなことになってしまったか本当に分からないんだ。
「和樹……」
だけどこれだけは言える。
あなたにそんな顔させるつもりなんてなかった。
これだけは本当に。
「勝手なこと言われちゃ困るな」
メランコリックな僕らの隣で
再び王様の拳がダンダンとテーブルを打った。
「理由がどうあれこいつは、薫まで誑かしてっ……!」
さすがにそれ以上は
言葉にするのもおぞましいか――言葉尻を濁して飲み込む。
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