episode248 女王の帰還

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征司が部屋を出て行って――。 いや正確には僕が癇癪を起して追い出したんだ。 それから長い間熱いシャワーを浴びた。 シャワールームを出た後経ち眩むほど。 僕は何かを洗い流したかった。 コントロールできない己の悪意か。 救いようのない失態か。 それでもまだのうのうとしている感情の一部か。 鏡に映る僕は綺麗だ。 罪のない子供のように頬を上気させ 何もなかったかのようにこちらを見つめ返してくる。 そういうえばルカも薫も無防備なほど澄んだ瞳をしていた。 悪魔というやつはきっとこの手の瞳をした人間が好きなのだ。 頭の中が整理できない。 今の僕に必要なのはきっと安定剤だ。 それと明日の朝まで何があっても目覚めない強力な眠剤。 中川はくれないだろう。 そんなこと言ったら大騒ぎして医者を呼ばれるのがオチだ。 そこでふと思いつく。 もしかしたら薫なら――。 せめて片方だけでも――あるいはどちらも持ってるかもしれない。
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