episode248 女王の帰還

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適当に身体を拭くと 僕は濡れた頭のままローブを羽織り部屋を出た。 もうみんなそろって眠りに落ちてしまったみたいに 長い廊下は耳が痛いほどの静寂に包まれていた。 僕は足音を忍ばせ進む。 薫の部屋まで――。 あとは泥棒猫のように用心しながら 音を立てず忍び込んだ。 目が慣れるのを待って小さなスタンドをひとつだけ灯す。 それから手あたり次第――。 薬が入っていそうな引き出しを ひとつひとつ開いては閉じた。 「ないな……」 部屋は住む人間を表すと言うが えてして余計な物の少ない部屋だった。 キャビネットの引き出しもデスクの引き出しも 楽譜や文房具など必要最小限のものだけしか見当たらない。 「無駄足か……」 探し物にも疲れ僕は部屋の中央にぽつんと置かれた 革張りのアームチェアに身を投げる。 「……ん?」 と――視線の先。
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