episode248 女王の帰還

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ベランダへ続く窓の向こう。 僕は恐怖に凍り付いた。 そこにはよく磨かれた窓に張り付いて 食い入るように部屋の中を見回す奇怪な聖職者の姿があった。 「ルカ……」 黒いマントが夜風にひるがえり ブロンドの髪は見事に逆立ち 何事か呟いているのか――。 真っ赤な口を開けば もはや人の物ではない極端に尖った牙が見え隠れする。 しかしもっと奇妙なのは彼が僕を見ていないことだった。 面と向かう形で部屋の真ん中に座っている僕が 目に入ってはいないのだ。 「……オル……」 やがて 吹き付ける風の音の合間を縫うように 「カ……オル……」 ルカが薫の名を呼び続けているのが分かった。
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