episode248 女王の帰還

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しかし僕が本格的な悲鳴を上げるより先に ここにはいないと踏んだんだ――。 ルカは突然くるりと踵を返すと 何か思い立ったように駆け出した。 そしてあっという間――。 ベランダの手すりを跨ぎ 2階まで伸びた楠の木の枝に腕を伸ばすと。 黒いローブを身体に巻き込むようにして 大木に飛び移り夜の闇に姿を消した。 「な……なんなの……」 僕は情けなくも腰を抜かしたように 気づけばアームチェアーから床に滑り落ち 床にぺたんと座り込んでいた。 シャワーを浴びたばっかりなのに 背中は冷たい汗で容赦なく濡れている。 だけど こうしちゃいられない――。 なんとか椅子の肘掛につかまって体勢を立て直す。 ここに薫がいないと知ってあいつが諦めるか? いいや決してそんなことはないだろう。 それならルカが次に向かう先は? 「病院だ……」
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