73人が本棚に入れています
本棚に追加
善意の革命会館のまわりにある救急病院と言ったら。
所詮数は知れている。
深夜を0時を回っている。
面会時間はとうに過ぎているし
椎名さんはもういないだろう。
さすがにこんな時間に電話するのも憚られた。
だけど今更――。
お兄様たちを起こして
吸血鬼が出たから薫の元へ連れて行けと言うか?
しかし中川にリムジンを頼めば
一層大事になるのは火を見るより明らかだった。
そしてここが一番大事なところ。
時間はあまり残されていないということだ。
僕は薫の部屋から飛び出した。
一人で行く。
外に出たらタクシーを拾って
一目散病院へと向かうんだ。
いましがた木登りしていた吸血鬼よりは
少しは早く着くはずだ。
だから僕は一人で行く――。
最初のコメントを投稿しよう!