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どうすればいいか。
そんなの簡単だ。
病院に着いたら大騒ぎして
当直の医者から入院患者まで
みんなみんな起こしてしまえばいいんだ。
そしたらさすがに奴だって
今夜薫に手出しすることはできないだろう。
少なくとも今夜は――。
明日のことは明日考えればいい。
とにかく今夜は僕一人で
傷つけてしまった薫お兄様を守るんだ。
それがせめてもの道化の償い――。
自室によって上着をひっかけると
足音を忍ばせ螺旋階段の手すりを滑り降りた。
子供の頃からやってる。
上手く着地できるはずだった。
「和樹――」
「えっ……?う、うわっ……!」
こんなタイミングで
あの人さえ声をかけてこなきゃ。
「和樹……!」
みんな一人で上手くやれたはずだったんだ。
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