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そう自分に言い聞かせ、教室の扉を開ける。
「ごめん、千綾さっ……むぐっ!?」
急に口元に布を当てられ、甘い香りを吸い込んでしまう。
「むぐっ、うっ……」
甘い香りが眠気を誘ったのか、それとも毒か何かなのか。誰にやられたのか、それすら認識する間も無く、僕は意識を失った。
☆ ☆ ☆
……きて。起きて。
「起きて、横坂君」
僕を呼ぶ声に目を覚ますと、月明かりに照らされた千綾さんが目の前にいた。なんだか眠い。
「……千綾さん?僕は、一体……」
「ここは教室だよ。私の」
そうだ。僕は千綾さんに会いに来て……。
思い出した。入った瞬間に何者かに何かを吸わされて、僕は意識を失ったんだ。
「……はっ!そうだ、あれは誰が?千綾さん、誰かが僕を狙って……っ!?」
立ち上がろうとしたが、動けなかった。眠気は残っていない。意識は覚醒しているハズなのに。
下を見ると、僕は足と太股、腰を椅子に縄で括りつけられ、身動きできないようになっていた。
「なんだこれ!?誰がやったんだ?……くっ!動けない……!助けて」
千綾さん、と言いかけて止めた。彼女が愉快そうに笑みを浮かべていたからだ。なんで目の前で人が縛られてるのに笑っていられるんだ?
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