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「男相手でも、おかしくないんだろ?大したことないって、普通のことだって…あいつしかいないなんて…そんなの…怖すぎる…」
「はー…」
「これからデートだってのに、溜息ついてんじゃねーよ」
「泰成…お前なぁ~…本気…?」
「本気。お前が言ったんだろ。とりあえず一回デートしてみてからって」
「いやーそうなんだけど…」
「俺は別にこんなことしなくてもさっさと寝てくれれば…」
「とりあえずバッティングセンターでも行こうぜ」
「…」
「うわ、ホームラン。相変わらず化け物」
「お前が下手なだけだろ」
「この後テキトーに飲みに行こうぜ」
「…」
「飲んだ後どーする?カラオケとかボーリングでも…」
ガンっ
「…なんだよ泰成」
「…なんだよ?こっちのセリフだよ!どういうつもりだよ!」
ふざけんな
「同情?デートごっこで誤魔化す気かよ!一回抱いてくれるだけでいいって言ってんのに…嫌ならそう言え!」
めんどくせーのは…嫌いなんだよ
ーどういうつもりって
「泰成が突拍子のないこと言うから勢いで…っていうのが本音」
「…だったら」
「でもほっとけないんだよ。俺も怖かった。そんくらい好きだった」
「…ふーん」
「けど何もできなかった。友達っていう関係を壊したくなくて、傷つけたくなくて…自分が傷つきたくないだけなのに」
「…俺だってそうだよ。傷つけたくなくて、傷つきたくなくて…」
「結局、何もできなくて、はまちゃんが優しいのに甘えて…はまちゃんが好きな人がいることくらい分かってた。 それでも…たとえ偽善でも、それに溺れていたかった」
「…他の相手を好きになってんのに、つくづく思うことは同じなんだな」
「ははっ。かもなぁ」
「なぁ、俺も偽善でもいいから溺れたいんだ」
「…だから?」
「抱いてよ。俺のこと…優しい勇気なら、してくれるだろ?」
「…分かった。飯食ったらホテル行こう。俺は優しいから、抱いてやるよ」
偽善なんて当たり前
慣れてしまえばこっちのもの
それでも
その優しさに心が傷んだら
それが恋なんだろう
俺は
やっぱり細見が好きなんだ
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