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「もちろんです。坂本さんとぜひ」
その意味を一瞬考えた大だったが、素直に「はい」と頷いておく。
また一つ楽しみが出来たと嬉しくなると、その話題の中心だった本人たちは、竹男も交ぜて試食品を食べたり、雑談したりと楽しそうだった。
塔太郎も、月詠と業平から聡志の話を聞いたらしい。それに感化されたのか、
「ええなぁ、楽器。俺もいっぺん、体験できるとこ探してみよっかな」
と言っている。
お琴や三味線や、という話になっていく時、業平が塔太郎の顔をしげしげと眺めて、彼に似合う楽器を考えていた。
「坂本くんなぁ。そうだなぁ……ブブゼラはどうかね」
「せめて和楽器にして下さい」
となったので、皆で笑った。
この数年後、聡志は小さなライブ会場で笛を披露するようになり、やがてCDを出すまでに成長する。
しかし、それはまだ遠い、未来の京都の話である。
(終わり)
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