第六話:一

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「だから、もう他の人のものなんだって。諦めなよ」 「いーえ。譲って頂くよう、交渉しますよ」 「嘘だ、穏便に済ます気なんかないだろう。……一応聞いとくけど、君、笛を、何に使う気?」 「何とは。吹くに決まってるじゃないですか? 万人を惹きつける笛のようですしね。応用次第で、まぁ色々……」  という彼の呟きを聞いた瞬間、月詠は話すんじゃなかった、と後悔した。 (こいつは、鬼笛を悪い事に使う気だ) そして一刻も早く、鬼笛を持って行った誰かを探し出さねば、と、決めていた。
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