第六話:二

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「あいつ?」  琴子、玉木、大、塔太郎の四人ともがそこに反応した。 が、現時点では月詠は話していないらしく、「あいつ」が誰なのかは分からなかった。 それからの月詠は、とにかく笛を吹かせようと明け方まで粘り続けて、陽が昇る頃、女の子から白猫に戻ったという。 「人間の姿には、夜しかなれないんだ。僕も寝なくちゃいけないから一旦帰るけど、それまで稽古しておいてくれ。それと、手放しちゃ駄目だぞ。絶対だぞ!」  と、念を押して聡志の前から去っていった。 そしてその宣言通り、次の日も、その次の日も、聡志の前に現れては「今日はどうだ」「もう吹けるようになったか」と付きまとい、薙刀をちらつかせては稽古させようとするらしい。  話し終えた聡志は疲れてしまったのか、テーブルに肘をついて頭を抱えた。
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