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プロローグ
二人の男の剣が交わる。
事の発端は単純なことだ。
一人の男は将来魔王を倒す為に修行を積む騎士。
もう一人は異世界から転生し、女神から魔王を倒す力を使命を授けられた少年。
そんな二人が世界の片隅、とある街で出会い。
非力そうな少年が女神の加護を受けたことに納得のいかない騎士が『腕試し』と称して、一方的に決闘をしかけたところからこの物語は始まる。
「くそっ、こんなやつに……!」
“疾風剣”の異名を持つ、騎士ドロウが悪態をつく。
彼が戦っている相手は少年。しかも簡素なシャツのズボンだけ、鎧など装備していない。手に持っている剣は訓練用で刃が潰してある。
「いいかげんにしろよ! オレはそんなつもりねぇんだって!」
少年エイタが叫ぶ。
エイタはドロウの高速の剣撃を難なく防御する。
これはエイタに与えられた女神の加護のひとつ『自動防御』の効果である。自身の正面180°以内からの物理攻撃に対して自動で発動するユニークスキル。
この効果を知らないドロウは攻め手に欠いていた。
明らかにやる気の無い態度。身のこなしも素人そのものであるにも関わらず、ドロウが剣を振り下ろすと的確に防御するのだ。
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