第一話 入国管理局特別審査第一部門主任の場合 ~異世界召喚編

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 考える程の問題じゃ無いんだけれどなあ。  結局一スルザン(2時間)かけて埋まった回答欄は三割。  正解は無しというおまけ付きだ。 「こんな知識世間では必要ない!」 「悪いがワーサキ国でも中等教育レベルの問題だぞ。こんなのを解けないで有用な知識とか進んだ世界なんてのは話にならないね」  まあそんなものだろうと俺は最初から思っていたのだけれど。 「さて、他に言い残す事はあるか」 「待ってくれ、何かの間違いだ。こんなのおかしい、インチキだ!」 「どこが。はっきり言って見ろ」 「俺は本当は勇者の筈なんだ。異世界にやってきた勇者なんだ。ただ皆が気づかないだけなんだ。そうお前もそうだ。いや、お前こそ悪の手先だろう。間違いない。少しでも神を恐れるなら俺を解放しろ。伝説の勇者にふさわしいもてなしを!」 「もう無駄みたいだな。君から聞く事は何も無い」  面倒なので対象の口を魔法で閉じる。  うむむむーと何か唸っている対象に事実を宣告する。 「君は私に対し、君自身の有用性を何一つ示せなかった。その癖言う事は言い訳ばかり。私はそれでも君に対し温情ある措置を取る事にしよう。矯正労働収容所行きだ。     
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