第一話 入国管理局特別審査第一部門主任の場合 ~異世界召喚編

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「それなんだが、異世界からここに来てすぐここに連れてこられたので授けられた異能が何かまだわからない。だいたいこんな処に連れてくるとは何だ。普通異世界からの勇者は国王直々に拝謁するのが礼儀だろう」 「まず言っておくがここワーサキ国は現在では共和制で議会民主主義を取っている。国王はいない。かつての国王の子孫なら探せばいるかもしれないがな」  何でここが王国だと思っているのだろう。  女神と同じくらい訳がわからない。  でも他世界から来た不法入国者はだいたい女神とか国王に会わせろと言ってくる。  こいつらの世界はそういう世界なのだろうか。  俺にはとても想像がつかない。 「更に言うと私は他言語魔法と判定魔法等いくつかの魔法を使う事が出来る。今話している言葉は君がわかるように私が魔法を使って翻訳している訳だ」 「異世界でも言葉が通じるのはデフォルトでは無いのか」  何も考えていないな、この馬鹿。 「君を収容する時の警察官の言葉は君に通じなかっただろう」 「下賤の者に言葉が通じないのは当然だろう」  何だその偉そうな考えは。 「我が国は識字率もほぼ百パーセント。この国の言葉を話しても君が理解できないだけだ。今は私が魔法でそっちの言葉を話しているに過ぎない」  こいつの常識にケチをひとつつけたところで本題に戻る。     
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